こんにちは、LUNAです。
梅雨入り前なのに真夏日続きですね。
こんな日は京都大原の静かな山里で、苔むす庭に耳を澄まして、自然の力と心の安らぎを感じられたら幸せですね。
大原の三千院や寂光院は、私が小学生の頃、NHKの大河ドラマの影響で一大ブームがありました。その頃は、ものすごい観光客で賑わっていました。
去年の今頃、帰省した折に夫と久々に訪れました。昨今の海外からの旅行者でごった返す京都市内とは打って変わって、観光客の姿は少なくて静かな大原本来の山里の原風景を堪能できました。
京都大原 寂光院
寂光院は、594年(推古2)聖徳太子の創建と伝えられています。
平家滅亡後の1185年(文治1)平清盛の娘 建礼門院が入寺、仏門の生涯を送ったお寺です。建礼門院は壇ノ浦で平家が敗れた後 助けられて京都に戻されました。
壇ノ浦で滅亡した平家一門と自分の子である安徳天皇の菩提を弔うためにこの地で終生過ごされました。
残念なことに、平成12年5月9日に心無い放火により本堂は全焼しました。平成17年6月に再建されました。火事で焼損,黒焦げとなったご本尊(旧本尊の地蔵菩薩(ぼさつ)立像)は、国の重要文化財に指定されています。
ご本尊は鎌倉時代(1229年)の作で、像高256.4cmのとても大きな仏像です。特徴的なのは、お像の内部に3000体以上の小さな地蔵菩薩像や、多くの納入品が納められていたことです。
本体の地蔵菩薩立像は焼損してしまいましたが、納入品は奇跡的に無事でした。現在も「木造地蔵菩薩立像(焼損)」という称名で、像内納入品と共に、引き続き国の重要文化財に指定されています。
この被災した木像の修復作業は美術院国宝修理所(京都市)で約半年かけて乾燥させた後、かびなどを防ぐ処理をして、炭化した現状のまま特殊樹脂で全体を補強されました。劣化を防ぐために3年がかりで樹脂を塗られたそうです。
現在は、境内の奥にある収蔵庫に安置されていて普段は拝観はできません。
私が去年訪れた時は偶然にも春の特別公開の時期だったので、拝観できました。鎌倉時代の地蔵菩薩立像は、収蔵庫でガラス越しに展示されていました。
真っ黒の炭になって、縦に大きく亀裂が走っていて、あまりにも無残なお姿でした。それでも凛として立っていらっしゃいる様に、見た瞬間に衝撃が走り、鳥肌が立ちました。
火事が鎮火したのは早朝。消火活動された方々が目にされたのは、焼け落ちた本堂から現われた焼け爛れ真っ黒なお姿のご本尊様に朝陽がさしている様だったそうです。
屋根も落ちているのにご本尊様は毅然と佇んでおられたそうです。無残なお姿なのに朝陽がまるで後光のようでさらに涙を誘ったそうです。
壇ノ浦で平家一族は入水し、一命をとりとめた建礼門院が終生過ごした寂光院が、時を経て劫火にあうとは、なんと皮肉なめぐり合わせでしょう。
この静かな尼寺の庵には、一抹の哀しみが漂っているが故に現代人の心の癒しに繋がっている気がします。
交通:京都駅前から京都バス17系統、京都駅から地下鉄で国際会館下車・京都バス19系統に乗り換え大原下車
しば漬け発祥の地
しば漬けは、建礼門院に使えた阿波の内侍(あわのないじ)が里人から献上された野菜を大原の赤しそを用いて漬け物にしたことが始まりと言われています。
寂光院の門前、文字通り真ん前に位置するお漬物屋の翠月さん。家族経営の京漬物と佃煮のお店です。ここのお漬物は絶品です!
京都生まれの私はお漬物が大好きです。市内に生まれ育っているので、有名どころのお漬物屋さんはたくさん知っています。贔屓のお店も勿論あります。
が、去年、初めて翠月さんのお漬物をいただいてビックリしました。「しば漬け」ってこういう物?今まで食べていた物は何?
また、あまり好きではなかった「すぐき」「日ノ菜」を試食して脱帽!だって、美味しすぎるんですもの。特に独特の酸っぱさの「すぐき」を美味しい、と思えたことは私には事件でした。
お正月には千枚漬けをお取り寄せしました。生前、実父は毎年、千枚漬けを漬けていました。昆布と粗塩のみ、甘味料は一切使用しないレシピでした。
父亡き後、市販の千枚漬けの妙に甘過ぎる味に馴染めませんでした。美味しいとは思えなかった。翠月さんの千枚漬けは二度と食べることはできない父の千枚漬けを彷彿とさせてくれました。
メールと電話、FAXで注文できます。お漬物好きの方は是非、お取り寄せして召し上がれ!
うーん、ぶぶ漬けが無性に食べたくなってきました。